宗教

ヒンドゥー教と仏教の“るつぼ”
ネパールにおいてはヒンドゥー教と仏教が二大宗教ですが、総数では圧倒的にヒンドゥー教徒が多数派です。 といってもこの二つの宗教は、この地では長年にわたって共存関係を保っており、例えば多くのヒンドゥー教の聖像と同じものを、仏教の寺院でもよく見ます。ヒンドゥー教徒は特に意識することなく仏教の寺院を参拝し、またその反対に、仏教徒も当たり前のようにヒンドゥー寺院を訪れます。これはつまり、両教徒がお互いに双方の宗教も信仰していることを意味しています。もちろん各宗の神々にはそれぞれ異なる名前がつけられていますが、ヒンドゥー教と仏教それぞれの神として各々の宗教に共有されているのです。

2006年5月18日、ネパールはネパール議会により非宗教国家であると宣言されました。 上述した二大宗教以外の宗教であるイスラム教、キリスト教、ジャイナ教、ボン教なども信仰されています。また、キラート族のような先住民は祖先信仰をベースにした独自の宗教的価値観を持っていますし、タルー族のように、アニミズムを信仰している民族もあります。何年もの長きにわたって二大宗教として信仰されてきたヒンドゥー教も仏教も、これらの慣習・風習からも影響を受け、統合的な新しい形の信仰に変化して来ています。

宗教的祭祀行事
ネパールで行われているほとんどの祭事は、宗教的意味合いを持っています。 祭事の日程は、占星術師達の中でも特に上級職に任じられた人達が太陰暦のカレンダーを基に、討議を行った上で決定します。ネパール最大のお祭りとしてよく知られているのがダサインという大祭ですが、これはバグバティ神(ドゥルガ)が邪神マヒサスルに勝利したことを祝うお祭りです。また、光の祭りと呼ばれるティハールでは、女神ラクシュミに祈りを捧げます。この他にも、マチェンドラナート、インドラジャットラ、ロサール、マギ、チャート等の民族祭祀行事に加えて、クリスマス、イード、その他多数の重要な祭事があります。

古来ネパールには、多くの宗教的巡礼地がありました。それぞれの寺院がそれぞれの祀り神を持っており、その神通力によって起きたとされている様々な伝説や信仰と結びついています。カトマンズ盆地ではパシュパティナート寺院やスワヤンブナート寺院のほか、たくさんの有名な寺院を見ることが出来ます。カトマンズとその近郊には無数の寺院があり、見事な仏塔も建造されています。

有名な巡礼地を以下に記すと、東ネパール地区にはバラチェットラ、ハレシマハデブ、ジャナキテンプル、パチバラ、ティンボチェ、ゴルカ郡にはマナカマナがあり、中央ネパールにはルンビニ、ムクティナート、タンセン、ゴサイングンダなど、その中央に位置するカトマンズ盆地にはパシュパティナート、スワヤンブナート、ボウダナートがあり、さらに西ネパールに目を移せばスワルガドゥワリ、カプタッドアシュラムがあります。アンナプルナ地域にはムクティナートが、ランタン地域にはゴサイングンダがあり、それぞれが巡礼地として知られています。これらの場所はまた、有名なトレッキングルートでもあります。

ネパールはまた、チベット仏教総本山であるカイラシュ山への入り口でもあります。カイラシュ山は神話の上ではシヴァ神の住居とされており、また、聖なるマンサロバル湖もすぐ近くにあります。教会やモスク、パンジャブ寺院なども、ネパールの様々な地域に置かれています。
これらの中でも最も有名なモスクがダルバールマルグに二つありますが、その一つであるパシュパティナートはシヴァ神を奉ったもので、ネパールにあるヒンドゥー教寺院中でも最も神聖な寺院となっています。