アクティビティ
エベレスト山域

エベレスト山域はトレッカーの間では常に人気のルートです。恐らくこのルートに行ったことがない、というトレッカーは少ないのではないでしょうか。「エベレスト」と聞くだけで敬虔な気持ちになるものです。東ネパールに位置するエベレスト地域では、幅広いスタイルのトレッキングを体験することができます。エベレスト・ベース・キャンプのトレッキング(世界10大極上旅行のひとつに数えられることもあります)から、人里はなれたほぼ無人の荒野の地まで、数多くの選択肢があります。
 
ソルクンブ地域は、かの伝説的「シェルパ」の地であり、ヒマラヤトレックで最も人気のある地域でもあります。ソルクンブ北部(クーンブ山群)は高山地域の壊れやすい生態系を守るために指定されたサガルマータ国立公園内にあり、このサガルマータ国立公園の東には密林生い茂る深い渓谷と山々が連なる、人里を遠くはなれた広大な原野、マカルー・バルン国立公園があります。西側には原形のままのネパール文化をコンパクトに封じ込めたような土地、ロ-ルワリン山群があり、ソルクンブ郡の南側はソル地方になります。ソル地方は今のところツーリストは少ないのですが、本来持っている土地の魅力を考えれば、十分に訪問のしがいのある土地と言えます。  

当然のことですが、この地域の主な魅力と言えばまずエベレストの名前があげられます。また、それ以外にもローチェ、チョ・オユー、マカルーその他、数多くの8,000m級の山々が連なっています。これらの山群は、エベレストよりほんの少し低いからと言って、その美しさに変わりはありません。また、クーンブ山域はただ山々が連なっている場所というだけではなく、氷河湖の姿の荒涼とした美しさ、燦然たるシャクナゲの森、この土地特有の植物相と動物相、とても感じの良い村々に古代の仏教寺院などのすべてが、ツーリストにとってこの地域をいやおうなしに目的地にしてしまう魅力になっています。

トレッキング許可と許可料金

登山をするのでない限り、このエリアでは特別なトレッキング許可証は必要ありません。サガルマータ国立公園に入る前に支払うこととされている「入域料」が唯一必要な許可料金で、これはタメルの国立公園デスクで前もって支払っておく必要があります。さらにエベレスト街道東面のトレッキングが加わる場合には、マカルー・バルン国立公園に入るための追加の許可証が必要となりますので、こちらもタメルの上記デスクにて取得しておきましょう。さらにこのエリアへの来訪者は、ネパールツーリズムボード(NTB)で無料で取得できるTIMSカードを携帯していなければなりません。  

行き方

エベレスト山域へのアクセスは一般的に、飛行機を利用するか、カトマンドゥからバスで8~10時間かけてバス道路の終点であるジリまで行き、そこから歩き始めるか、の二通りです。他のルートとしてアルン渓谷経由のルートがありますが、この場合はバサンタプールという町が最上端(道路の終点)になります。これらの目的地に行くツーリストバスはありませんので、ローカルバスで行くことになります。ジリへのバスはカトマンドゥ中心街のオールド・ バスパークから出ています。ゴンガブ・バスパークから出るヒレ行きのバスに乗ると、もう一つのルートであるバサンタプールに行くことができます。
飛行機で行く場合、最もポピュラーなアクセスポイントはルクラで、カトマンドゥから毎日フライトが飛んでいます。その他のオプションとして、これも毎日カトマンドゥからフライトがある、ファプル飛行滑走路まで飛ぶ方法もあります。これらはエベレストや当山域南部をトレッキングする人々が、高度順応するための時間をとるには理想的な方法です 

人と文化

エベレスト山域の根幹、中核となっているのがシェルパ族です。ここは彼らの心のふるさとであり、彼らの伝統的な衣装から彼らに独特な造りの家や村の寺院など、あちらこちらにシェルパ文化の影響が見られます。また少数ですがその他にも、ライ族、リンブー族、タマン族などの中間山地民族や、渓谷で農業を営むブラーマン、チェットリなど、いろいろな民族が暮らしています。  

植物相と動物相

この地方の高低差は非常に大きく、海抜2,000mに満たないジリから、8,000mを越えるヒマラヤ山頂にまで広がっています。結果として植物相と動物相は極めて多彩で、松や樫の密林から4,000m地点のシャクナゲの花までが見られます。特にシャクナゲの花は春になると2,000mから3,500mの間の丘で色とりどりに咲き乱れ、特にそれを見るためだけにネパールを訪れる人もいるくらいです。

栽培されている作物は時期によって異なりますが、小麦、大麦、とうもろこし、ジャガイモなどが見られることでしょう。このあたりの村人は牛、水牛、ヤギ、豚等に加え、山岳地域における多目的動物とも言うべきヤクを飼っています。 
ナムチェ・バザールの周りではネパールの国鳥であるテイオウキジ(ネパール語でダンフェ)の野生の姿もよくみられます。その他には中間山岳地帯にはワタリガラスやカラスなどがおり、その鳴き声は信じられないほど空高く舞い上がって行きます。また、丘の中腹で輪を描いて飛ぶ雪鳩の群れも眺められます。  
この地域の陸上動物は神出鬼没ですので、まずは山ヤギ(ほとんどがヒマラヤタール種)を見逃さないように目を配っておきましょう。そしてもし幸運であれば、森に居る鹿や、時には極めて珍しい麝香鹿(ジャコウジカ)がみられることもあるでしょう。  

いつ どのように

エべレストのトレッキングはあなたがどのルートを選ぶかによりまったく違ったものになります。主なトレッキングコースであるエベレス・ベース・キャンプへの道や、ゴーキョ・ピークへの道など、ティーハウスと呼ばれる簡易ロッジが数多くあるルートのトレッキングであれば、宿や食事の心配がいらないので一番手軽であるといえます。ジリからのトレッキングも沢山の便利な簡易ロッジがありますが、北部方面のロッジに比べると見劣りがするのも事実です。他のトレッキング・ルートの場合はそのほとんどで、キャンプの用意、すなわちトレッキングの世話をしてくれるスタッフと必要な装備を準備していかなければなりません。以下に個々のルートについて詳しく述べていきます。 

トレッキングの時期

この山域のトレッキングに最も適した時期は10月から11月、そして3月から5月で、これらがピーク・シーズンです。この時期、一般的に気候はおだやかで空気は乾燥し、歩くのに理想的な状態です。春のシーズンには高山植物など野生の花々、特にシャクナゲが見事ですし、秋のシーズンには空気が澄み切っていて山がはっきりとよく見えます。冬のトレッキングも可能ですが、リスクもあります。特に冬の遅い時期は降雪の可能性が高く、その日時を正確に予測することはできないため、殆ど予告なしに山道が通れなくなってしまいます。簡易ロッジも冬の間は殆どが休業しています。  
夏のモンスーンの時期にしても、一般的に言ってあまりトレッキングには向いていません。道はすべりやすくヒルもそこここに居て、山景色が見える保証もありません。ただしこうした悪条件に耐える覚悟があるならば、高山植物を見にはこの時期がベストシーズンですし、他のツーリストと遭遇することも少なく、山道を独り占めできて、トレッキングに行く甲斐はあるといえるでしょう。
 

スタッフを雇う

ルクラでガイド探しに苦労するよりは、出発前にカトマンドゥでガイドを雇って行ったほうが無難です。ガイドをカトマンドゥからの連れてくるための航空運賃よりも、ルクラでよいガイドが見つからないことのほうが問題です。実際、特にピーク・シーズンには、ルクラでガイドを見つけるのは無理でしょう。ただしポーターはいつでもルクラにいます。純粋なヤクは標高が低すぎるためルクラには居ませんが、雑種のヤクでしたら見つかるでしょう。小さいグループならば個人的な装備を運ぶだけなので、ヤクをわざわざ雇う必要はなく、ポーターを選ぶべきでしょう。料金はシーズンの繁忙度合いによって変わります。

もしジリからトレッキングを始める場合は、ポーターはジリにしかいないので、ジリで探すようにします。ただしガイドはカトマンドゥから連れて行きましょう。  

環境保護

ヒマラヤの自然環境の悪化については、沢山の議論がなされてきました。環境保護を意識して行動を起こしたのは、海外の遠征隊や各種協会、例えば、サガルマータ汚染管理委員会(Sagarmatha Pollution Control Committee)やネパール登山協会(NMA; Nepal Mountaineering Association)などで、教育プログラムや、クリーンアップ・キャンペーンなどを行って、多くの汚染問題を出来る限り解決しています。  

しかしながら、標高の高いヒマラヤの生態系はとても壊れやすく、簡単にバランスがくずれてしまいます。国立公園内では率先して、ビールや清涼飲料水のガラスビンの持ち込みを禁止していますが、このような取り組みによって微生物による生物分解が見込めない、堆積・蓄積していく種類のごみが減っていく目処が立っています。しかし環境保護の観点から良い変化をもたらすには、当然、こうした応急的措置だけでは十分とはいえず、トレッキングをする人自身が足並みを揃え、等質定量的な統一ルールに基づいて、変革努力をしてゆく必要があります。その点、トレッキングの行動規範として知られるKEEP code(注)は完璧な例であり、遵守されるべきです。 (注)KEEP=Kathmandu Environment Education Project