絵画

彫刻とならんでネパール文化の過去から今に至る歴史を明らかにしているのが絵画です。幸い保存状態の良い見事な作品が長い時間の経過を経てもなお生き残り、詳細な学術的研究に役立っています。ネパールの絵画の歴史を簡単に見てみると、肖像画や宗教画はリッチャヴィ王朝時代にカトマンズ盆地に流入してきたようです。リッチャヴィ王朝の石碑文などによれば、5世紀中頃からカトマンズ近郊の芸術家や僧侶、司祭、公易商などなどが盆地内に訪れるようになり、彼らが持ってきた宗教的肖像画や絵画が、地元の芸術家のお手本になったと考えられます。

7世紀にネパールを訪れた中国使節の王宣謝氏は、早くもこの時期にカトマンズの家々が彫刻や絵画によって装飾されていたことを、非常に雄弁に描写しています。リッチャヴィ王朝時代の絵画の実存例はないものの、同じ時代から今なお残っている文化遺産と同程度に、この中国使節によって見出された壁画も洗練されていたと推測されます。

聖画像として崇拝される宗教的絵画は、ネパールではパウバ(Paubha; ネワール人による宗教的巻絵)、チベットではタンカ(Thanka; チベット系仏教画)として知られていますが、これらは9~10世紀初� �のネパール人芸術家の作品に起源があると考えられています。

ネパールの彫刻はリッチャヴィ王朝時代(西暦330~879)にその絶頂期を迎えました。この時代の石像や銅像、青銅像等の作品は丸顔で、つり上がった目を持つのが特徴です。またリッチャヴィ王朝時代の彫刻のもう一つの特徴は、そのシンプルさです。衣服や装飾品は非常に控えめで、例えば多くのヒンドゥー教の神像は、ドティ(スカートのような腰布)を着けているのみです。仏教の神像は、長いサンハティス(肩からかけるだけの、仏教徒が着用するサフラン色のローブ)での姿が彫られています。