アーシャー公文書館

アーシャー公文書館はネパールの手書き文書を保存している公立図書館で、故プレム・バハドゥル・カンサカール(1917~1991)の父親である故アーシャー・マン・シン・カンサカールにちなんで名づけられました。カンサカール氏は社会活動家として重要な人物であると同時に教育者であり、ネワール執筆家でもありました。彼が設立した施設には、社会的なものもあれば文化的なものもあり、さらには文学・教育施設等も設立しています。ここにあるコレクションの大半は、1985年8月16日にプレム・バハドゥル・カンサカールからチュワサ・パサ(ネワール語文学者協会)に寄贈されたものです。その後、数人の賛同者と友人達により、価値ある文書や貝葉(パームリーフ)に記された文書等が追加寄贈されました。  

アーシャー公文書館は1987年12月7日にオープンし、一般公開されました。現在の建物の購入から整備に至るまで、トヨタ財団からの助成により成り立っています。さらに同財団は手書き稿本の整理や公文書館としての初期運営にも、元金と寄付金を預託する形で資金を提供しています。

アーシャー公文書館コレクション

この公文書館には貝葉(パームリーフ)に記された文書やチベット式古文書(loose-leaf pothi)、折りたたみ式の写本など貴重な資料が保管されており、その数は稿本で6700点以上、貝葉文書で1100枚におよびます。稿本のジャンルは多岐に渡り、使用されている言語や文字も様々です。その大半を儀式や医学に関する文書、魔術や黒魔術・占星術・天文学の説明書、ヒンドゥー教の聖典、仏教の経典などが占めており、大乗仏教・密教の写本も多数保管されています。特に関心を引くのは、記号や工業技術を用いた図面や、宗教建築や一般建築のデザイン画、稿本の表紙の彩りや実に美しい模様の挿絵などです。しかし公文書館の蔵書の中でも、もっとも価値があるのは、文学書、讃美歌集、歌集、脚本、一般説話集、訓話集、そしてネワール語による経典でしょう。墨や金色、銀色の文字で記された、ネワール語・マイティリ語・ネパール語の書道標本もまた注目に値するでしょう。  
 
公文書館にはネワール語で出版されたほぼすべての書籍・機関誌・雑誌・新聞が収集されています。小規模ではありますが、英語その他の言語によるネパール関連書籍のコレクションもあり、カトマンズ盆地内の文化や文化遺産を学ぶのに適しているでしょう。アーシャー公文書館は、カトマンズの西端のクランブル(スワヤンブナートへ向かう途中のラクタカリの向い)にあります。