バクタプルの博物館

国立美術館
国立美術館は、ネパールの伝統的絵画の保存と展示を目的とし、1960年ネパール政府考古学局によってバクタプルの旧王宮の一部に設立されました。コレクションはさほど多くはありませんが、数世紀前の彫刻や写本、貴重なパウバ(ネワールの宗教巻絵)も鑑賞できます。

石造品美術部門
美術館1階の正面入口の横が石造品美術部門です。実在が証明されている最古の王朝リッチャヴィ王朝のシヴァ・デヴァ王時代や西暦1468年のヤクシャ・マッラ王時代の展示品も数点あります。展示されている石彫のほとんどはバクタプル地区で作られており、これらは中世初期から中世にかけてのネパールの石造美術の代表的作品群です。四面像のシバリンガ像、ハリハール像、スルヤ像、チャンドラマ像、ヴィシュヌ像、タラ像、アルダナリスワール像の他に、石彫りが施された建築材の残留品は一見の価値があるでしょう。石造彫刻の中でも、1934年の大地震で損壊した寺院から回収されたハリシャンカール像は特に興味深い作品です。シヴァとヴィシュヌが一体となったこの石像は、両神の象徴が共有されています。  

絵画部門
美術館2階はネパールのパウバ(ネワールの宗教巻絵)と写本が展示されています。特にパウバは素晴らしく、中でもバスンダラ曼荼羅、ガネーシュとシャクティ像、マヒサ・サンバラ像、バシュラ・ヨギーニ像そしてシヴァ・ヴィスワルパ像などは一際目を引きます。メインの展示室の中心には、五つのショーケースがあり、中には非常に価値の高い古代の挿絵入り写本や表紙が並べられ、そのうちの一つにはプラタップ・マッラ王の巡礼旅行を描写したものもあります。その他注目すべきは、11世紀のヴィシュヌ・ダサヴァタラ(ヴィシュヌ神の10化身)の写本や、13世紀のシヴァ・ダルマ・プラナ(シヴァ神の正義の神話)の写本カバー等です。廊下のような形をした長方形の部屋の北方の壁には南向きに、たくさんの腕と頭を持つシヴァ・ヴィシュワルパの絵画がずらりと飾られており、全てに解説が付けられています。長い廊下には水中世界や神話のドラゴン、様々な鳥や雄牛などの水彩画が飾られており、これらはネパール中世の民芸を代表する作品です。  

木彫美術館(ダッタトラヤ広場)
バクタプル・ダルバール広場から約10分のダッタトラヤ広場には、古代プジャリマート(カトマンズ盆地内で最古の僧院)が転用された木彫美術館があります。プジャリマートはカトマンズにあるものの中でも最も古いマート(僧院)と考えられています。美術館には中庭があり、周囲の窓と柱は見事な木彫で装飾されています。マッラ・ヴイジャヤ、プージャ・デヴィ、ヴィスワルプ、アリャタラなどの神像は、素晴らしい木彫秀作です。美術館は数年前にドイツのプロジェクトにより修復が施され、ほとんどの展示品に解説が書き加えられました。  

真鋳・青銅美術館
木彫美術館の向かいの建物にあるのが、金属工芸を集めた真鋳・青銅美術館です。ここでは前世紀や20世紀初頭に貴族やネワール臣民によって広く利用されていた真鋳・青銅製品が展示されています。宗教目的に使用されたカラシュ(聖壺)やお香立ては注目に値し、さらに王族や貴族の痰つぼは特に興味深いと言えます。ネワール社会の宗教儀式にまつわる品々が、ここの展示品の大半を占めています。